-クロード・モネの人生の変遷を垣間見る-
皆さん、こんにちは。
少し前になるが、東京・上野にある「上野の森美術館」にて1月末まで開催されていた「クロード・モネ展 -連作の情景-」を鑑賞しに行った。
この時はまだ寒く、マフラーやコートが手放せなかったが上野恩賜公園は広く、東京都美術館や上野動物園もあるので人混みは多かった。
公園内ではB級グルメの露店イベントも開催されていて学生から芸術展目当ての老夫婦までまさに老若男女でごった返していた。
今回の「クロード・モネ展 -連作の情景-」は事前にWeb予約による鑑賞券を購入して臨んだが、当日券も販売しておりかなりの行列だったが並べば鑑賞できるようだった。
すでに東京展は終了してしまったが、2月10日からGWまでは大阪の中之島美術館で鑑賞できるので当記事がちょっとした参考になれば幸いだ。
音声ガイドがある方が楽しめる
鑑賞券のほかにも館内では音声ガイドも販売されていた。
音声ガイドのナビゲーターは俳優の芳根京子さんが務めている。
絵に集中して鑑賞する為にも音声ガイドはぜひ購入をおすすめしたい。
テーマBGMも一部聴く事ができるほか、スマートフォンでも音声ガイドを聴く事ができるリンクを購入する方法もある。
ワイヤレスイヤホンなどを持っているならそちらも便利なので検討してみてほしい。
さて、今回の「クロード・モネ展 -連作の情景-」だがモネと言えば「睡蓮」、「印象派画家」といえば「モネ」と言われるほど有名だが、そんなモネも最初から印象派画家として名を馳せたわけではない。
今回の展覧会はそんなモネの生い立ちや若かりし時の作品や生活の為にサロンへの出品を目指す時代などなかなか語られなかった背景も作品とともに解説されているのが特徴だ。
また今回は同じ場所に何度も訪れ、時期や時刻・天候などが異なった「連作」に焦点を置いた作品展となっている。
作品の一部は写真撮影が可能だが、すべて掲載してしまってはつまらないので写真を一部のみ掲載している。
連作を何度も見比べて視点の違いを楽しもう
展覧会ではぜひ連作として発表された作品をじっくりと鑑賞してほしい。
ロンドンのウォーター・ルー橋は特に作品ごとの表情の落差が激しい。
サロン時代にマネから「水のラファエロ」と評された水面の表情はこの連作によって特に際立っており、モネの才能の高さを思い知るのに十分だ。
日没時や夕暮れ時のぼんやりと描かれたウォーター・ルー橋と対照的なほどしっかりと描き込まれた水面はまるで絵を描いているモネの心情が読み取れそうな気がしてくる。
終の棲家となったジヴェルニーに馳せた想い
モネが生涯を閉じるまで生活の拠点としたフランス・セーヌ川流域のジヴェルニーを舞台にした作品も見逃せない。
雪の表情を描いた作品は多いが、どれも雪の冷たさをふと感じるような鋭さを残すような描き方が特徴的だ。
どれも没入感があり、今でも人口の少ないコミューンとして成り立つジヴェルニーは自然の豊かさを多く残しているため、モネが描いた時代はまさに自然の力強さを感じさせる。
半生を過ごすほど惚れ込んだ小さな村はモネの生涯に大きな影響を与えた事だろう。
改めて名作「睡蓮」に触れる
最後は目の病気を患いながらもモネの生涯を飾るにふさわしい大作となった「睡蓮」が待ち構えている。
目の病気に苦しみ、ディティールに乏しいジヴェルニーの庭の睡蓮や視力の低下に苦しんでもなお描き続けた立派な庭の景色は衰えどころか習熟したモネの執念すら感じるほどだ。
名作だからと聞かされて事前知識なしにいきなり見る「睡蓮」とこの連作展を通して最後に見る「睡蓮」はおそらく全く違うものに感じるだろう。
ぜひこの連作展でモネの生涯をたどり、彼の研ぎ澄まされていく感性の片鱗を感じてほしい。
GWの予定にぜひ大阪展へ。
「モネ展 -連作の情景-」は東京展と大阪展で少し内容が違っているようだ。
自身は東京展を鑑賞したが、大阪展は展示される作品群にわずかな違いがあるだけらしいので鑑賞はこれから、という方でも同じように楽しめるだろう。
今年のGWの予定にぜひいかがだろうか。
名作ばかりが注目されがちなモネの生涯に思いを馳せよう。
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