【こいつ…”動ける”ぞ!】
皆さん、こんにちは。
2022年6月にKickStarterにてキャンペーンが開始され、既に着弾報告が多数出ているUnihertz社の新型コンパクトスマートフォン「JellyStar」が自分の手元にも届きましたので遅ればせながらレビューしていきたいと思います。
他のメディアでは言及される事が殆どなかった追加アクセサリーについても本記事では触れていきますのでどうぞよろしくお願いいたします。
基本スペック
まずは「Unihertz Jelly Star」の基本スペックを列挙します。
これはKickStarterや公式サイトの情報を参考にしています。
外寸 | 95.1mm×49.6mm×18.7mm |
重量 | 116g |
CPUチップセット | MediaTek Helio G99 Octa-Core 2.0-2.2GHz |
OS | Android 13 |
メモリ構成 | 8GB RAM + 256GB ROM(UFS 2.2対応) |
バッテリー容量 | 2000mAh |
SIMタイプ | Dual SIM(Micro SD 排他構成) |
ディスプレイ | LCD液晶 |
画面サイズ | 3.0インチ |
画面解像度 | 480×854(pixel) |
カメラ(リア) | 4800万画素 AF |
カメラ(フロント) | 800万画素 FF |
バンド(2G GSM) | 2/3/5/8 |
バンド(3G WCDMA) | 1/2/4/5/6/8/19 |
バンド(4G FDD-LTE) | 1/2/3/4/5/7/8/12/13/17/18/19/20/25/26/28A/28B/66 |
バンド(4G-TDD-LTE) | 34/38/39/40/41 |
Wi-fi | WLAN 802.11 a/b/g/n/ac 2.4GHz/5GHz Wi-fi Direct,Display,Hotspot |
Bluetooth Version | 5.3 |
NFC | 〇(Felica機能はなし) |
Navigation System | GPS,GLONASS,BeiDou,Galileo |
センサー類 | 指紋認証・Gセンサ・ジャイロスコープ・近接センサ・コンパス・太陽光センサ |
付帯機能 | 赤外線ポート・USB OTG・顔認証・3.5mmオーディオジャック・スピーカー(モノラル) |
無線充電 | × |
FMラジオ | 〇 |
カラーバリエーション | 赤・青 |
基本スペックとしては比較対象は先代の「Jelly 2」になるかと思いますが、全体的なスペックアップ(チップセットのグレードアップやRAMが6GB→8GBへ強化されている点など)はあるものの、先代の「Jelly 2」の国内版にはFelica機能があったのでそこで足踏みしてしまうユーザーは多いでしょう。
SNSやKickStarterのコメント欄、FacebookのグループコミュニティでもFelica機能非搭載を惜しむ声はあり、それだけ「Jelly 2」がFelica機能を搭載しリリースされた事に対するインパクトは大きかったのかもしれません。
しかしFacebookコミュニティでは、日本へ旅行する際におけるFelica機能のアドバンテージはかなり大きなものだとして旅行の際に邪魔になりにくいコンパクト端末だからこそFelica機能を搭載してほしかったという面白い意見もありました。
ただ、Felica機能自体は日本の生活習慣に深く根ざした故に突き詰められた機能であるのでもはや観光資源とサービスの国である日本がこれからも受け入れられていくにはガラパゴス化した機能にいつまでこだわり続けるのか?という視点も重要だと思っています。
これについては後程言及したいと思います。
外箱と外観・全体的な使用感について
まず外箱ですが、Unihertzの「超重量こそタフネス」といわんばかりのよくわからん方針のもと開発されたN〇thing Ph〇neをさらに激重にしたインスパイア端末「Unihertz Luna」の流れを汲むピッカピカの箱です。
一言で言うなら、デザインの暴走。
付属品も最近の大手によくあるSDGsの大義名分の旗の下、いともたやすく行われるえげつない「ACアダプタやケーブルの同梱を省く」行為に抗うようにしっかりと付属しています。
まぁ使わないんですけどね。
またKickStarterにて発表されたストレッチゴールの報酬として提示されたクリアTPUケースも付属していました。
端末本体に装着済みで箱に入ってるので初期設定の際には一度外す必要があります。
付属品にはTPUケースのストラップホールに使えるストラップが同梱されており、ストレッチゴールとかカッコつけなくても最初からつける気マンマンじゃん…と思わずつぶやいてしまうような見え見えの意図もUnihertzらしいとさえ思わせます。
端末には保護フィルムが貼り付けてありますが、ペラペラで心細いので汚れてきたら早いうちに貼り替えましょう。
大きくはなったが、手への収まりは良い
端末を手に持つと、確かな重さを感じながらも手にすっぽり収まる感覚があり、そこには最近のスマートフォンではなかなか味わえない貴重な体験があります。
正直Jelly2よりも重くなり、背面のLED機構搭載で分厚くなった時点で「そんな余計なことしなければもっと良かったのに…」と思いそうになりますが、シースルーデザインのボディは懐かしさを醸し出し、全体的にコロンとしたデザインは唯一無二の所有感を感じる事ができるでしょう。
そんじょそこらの生半可な格安コンパクト端末と比べるとしっかり作りこまれているのは確かなので、安心感はあります。
ジェスチャー操作はオフ、指紋か顔認証を設定しよう
背面のパリピ機能(LEDライトの事)はとりあえず置いといて、「JellyStar」には昔懐かしいナビゲーションボタンが物理的に配置されている昨今珍しいタイプの端末です。
しかしながらAndroid OS側の設定で初期設定時はジェスチャー操作(物理ボタンを使わず画面上のジェスチャーでナビゲーション操作を行う事)がオンになっているせいでナビゲーションボタンと役割が被ってしまっています。
画面が小さいのでジェスチャー操作は全体的にツラく、操作領域も十分に取れないため誤操作も多くなりがちなのでよっぽど特別な理由がない限りはジェスチャー操作はオフにしておきましょう。
また、小さい画面を操作する事になるので顔認証か指紋認証でロックを解除できるようにしておくと便利です。
ポケットから出して瞬時にロック画面を突破、すぐに目的のアプリにたどり着けるように設定する事が「JellyStar」の取り回しの良さを最大限引き出す事に繋がります。
実用的な操作性と処理性能はコンパクト端末の宿命を覆す
普段から高価なハイエンド端末の処理性能の恩恵を受けていれば自然と目や感覚は肥えるというもの。
もちろんいくら目が肥えているからと言ってハイエンド端末並みの処理能力を「JellyStar」に求めるのは酷です。
そして他社製でもAndroid OSを搭載したコンパクト端末は存在はするものの、どれもエントリークラスの性能で馬力の乏しいものばかり…。
しかしなかなかどうして「JellyStar」はパワフルなパワーを見せてくれます。
スマートフォンの処理能力は端末の画面の大きさや使用するアプリの数など様々な物差しによって変動するので一概に同じ土俵では比較できませんが、コンパクト端末に求められているスピードを十分に引き出す事が可能です。
その理由は2022年にリリースされた「Mediatek Helio G99」というゲーミングスマートフォンやタブレットに搭載されるラインのチップセットがこのコンパクト端末に押し込められている事に起因します。
ただ、いくらゲーミングスマートフォン用のチップセットが採用されているからといってこの端末でゲームアプリをプレイするのは厳しすぎます。(画面サイズ的に)
エンターテイメントを楽しむ端末ではないと割り切り、取り回しにおける優位性を最大限追求しましょう。
重量は公称値116gですが、実測では120gほどあり、小ささも相まってかなりズッシリとした感覚を受けます。
背面のLED機構もあり、先代機「Jelly 2」よりも重量はアップしているのでより「中身が詰まってる感」は感じるかもしれません。
最近のスマートフォンは200gを超えるモデルが散見されますので片手で持った時にこれを「重いと感じるかどうか」は個人差がありそうです。
アプリは厳選しよう
画面サイズ3.0インチの端末だけあって手のひらに収まるコンパクトさですが、小さい分視認性は少なからず犠牲になります。
もちろん1画面に表示させられるアプリの数もサードパーティ製のランチャーアプリをもってしても限度があるでしょう。
なのでインストールするアプリはあらかじめ厳選しましょう。
特にFelica機能は非対応なので交通系ICアプリについては代替の手段を用意しなければなりません。
「JellyStar」をサブ端末として使う予定であれば、メイン端末はFelica機能に対応したものにするかバッテリー不要かつ駅の券売機で現金チャージができるメリットを取って物理カードを持ち歩く等の取り組みが必要になります。
もしくはFelica機能対応のスマートウォッチでもいいかもしれませんが、右利きの場合ウォッチ系は左手に着ける事になり、公共交通機関の改札などが通過しにくくなるという別の問題を招来する事もあるのでよく考えたいところ。
逆にFelica機能を使わないバーコード決済型やクレジット決済で端末で受領処理ができるアプリは積極的にインストールした方がいいですね。
X(旧Twitter)やFacebook(Threads)などのSNSは非常に見づらいうえに処理負荷も高いので余程の事がない限りは不要と割り切るべきです。
個人的にはメイン端末を出さずに対応したいショッピング関係(会員アプリやポイント、決済アプリなど)をインストールしておき、ポケットに「JellyStar」だけ入れてちょっとした外出はOK、という使い方が良さそうです。
カメラはセンサーが変わり、下手な強調が軽減された
今回の「JellyStar」はJelly2からカメラのセンサーが変わり、Samsung製を採用しています。
そのためもあってかJelly2で感じていたチューニング不足感のある変な強調が加えられた写真ではなく、下手な強調が減ってより自然な印象を受ける写真が撮れるようになった印象です。
ただし、外が晴れていて昼光に恵まれている状態という恵まれた条件が必要で、曇り空や悪天候になると途端に厳しく、夜景はノイズがひどくなるので撮影自体がツラくなります。
風景撮影には向かず、日常の光景を切り取るようなスナップ写真感覚での撮影は楽しめます。
端末の大きさや取り回しの良さも手伝って撮影のハードルは低くなるのでそれを活かして細かい設定を気にせずバシバシ撮るのがいいでしょう。
追加アクセサリーについて
今回はKickStarterでの支援の際にストレッチゴールとして設定されたTPUクリアケースとは別に別売りのアクセサリーとして「アームバンド」と「クリップ」が用意されました。
接合部分を互いに押し込みながら回すとバンドとクリップを付け替える事ができます。
プロモーションビデオではランニング等にも最適としていますが、M2E(Move to Earn)アプリ「STEPN」(ステップン)を運動習慣と仮想通貨運用の勉強用として活用していたのでアカウントを「JellyStar」に移しアームバンドを装着してジョギングしてみましたが、常にGPSエラーが出てプレイする事ができませんでした。
他の距離計測アプリは距離を積算できたのでランニングアプリ等の運用は可能だと思われます。
同じくGPSを使ったゲームアプリ「Pokémon GO」では正常に動作したので「STEPN」でGPSエラーが出続けてしまう現象は解決できませんでした。
GPSの相性が悪いか、「JellyStar」自体が「STEPN」の動作要件を満たしていない可能性もありますが、「STEPN」専用端末としては運用を諦めざるを得ませんでした。
クリップはバックパックのショルダーベルトに挟んだりしてみましたが、挟むベルトの強度に左右される場面が多く「JellyStar」の重量をうまくコントロールできない可能性があります。
ベルト類よりサコッシュやショルダーバッグのポケットに挟んだ方が安定する事が多いです。
シャツの胸ポケットとかはポケットの内側に端末を入れるようにして使うならまだしも、外側にクリップを入れると「JellyStar」の重量に負けてみっともない感じになっちゃいます。
アームバンドは運動中に音楽を聴いたりする際に最適ですが、構造上端末部分は体の向きと同じにして装着してください。
ちょっと”動ける”1日に、スパイス的な印象の端末
今回「JellyStar」をしばらく使ってみて率直に感じたのは「かなり”動ける”端末だな」という点でした。
性能面からしても端末の大きさから考えると必要十分だと考える事ができるだけの説得力がありますが、「JellyStar」の真骨頂は「使う事によって気づきを得る事」にあると思います。
実際に大きな画面と圧倒的な処理性能を誇るハイエンド端末を家に置いて「JellyStar」を持ち出し生活してみると様々な場面で「ついスマートフォンを見てしまう」行動が多い事に気づきました。
「JellyStar」だけが手元にある状態だとSNSは見なくなり、動画もゲームもしなくなるので本当に必要な事だけスマートフォンを操作する事になります。
仮に通知が来たとしても「家に帰ってメイン端末で確認すればいいや」となったり、興味がありそうな動画やWeb記事も「後でPCでチェックしよう」となり、物理的に後回しになるので今やりたいことややるべき事の優先順位が崩れる事がなくなりました。
優先順位が崩れずにやるべき事がしっかりできると意外と1日のスケジュールにもおのずと余裕が生まれてきます。
一つ一つの事はものの5分や10分程度かもしれませんがそういった「チリツモ」的なものが積み重なって結果的に貴重な時間が奪われている事は否定できないかもしれません。
もし普段スマートフォンをチェックする機会が多いと自覚しているなら「JellyStar」を使う事で「デジタルウェルビーイング」の実現に一役買ってくれるかもしれません。
そういう意味も含めて、「普通に使う事ができる性能があるという意味での”動ける”」と「スマートフォンに依存し過ぎなくなる事で余裕が生まれるという意味での”動ける”」、軽く見られがちなコンパクト端末だけど意外と窮屈さを感じさせない面白い印象を持たせてくれる端末と言えるでしょう。
完全に乗り換えるとは言わないまでも、いつも持ち歩くスマートフォンを置いて「JellyStar」でちょっと違った一日を楽しんでみてはいかがでしょう。
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