病気 -Sick-

-ぼくのいぼ痔治療記【第2回】-

-数種の市販薬の果てに辿り着いた「あの薬」を使い、諦めるまで。-

症状を自覚してから数ヶ月の月日が流れた。

2022年の年始休み明けに遂に自分の住んでいるアパートの近くの地域病院を受診する事に決めた。

肛門科専門病院ではなかったが、まずは医者に掛かる事が肝要とこの時になって初めて動いた。

今から思い返してみても遅いと言わざるを得ない。

そして市販薬を使い続けた事により症状が悪化し、ついに排便時に肛門から内痔核が脱出してしまうようになっていた。

この時点では脱出した内痔核は1つだった。

最初は居住地近くの地域病院へ

まずは年始休み明け早々に有休を取り、地域病院を受診した。

肛門に直接指を入れて診察する「指診」と肛門鏡と呼ばれる器具で肛門を拡げ直腸を診察する「肛門鏡診察」が行われた。

この時の担当医は外科医であり正確には肛門科専門医ではなかった。

そのため、正確には「内痔核」という診断はされず、正確には言葉を濁された形となった。

おそらく専門医でなかったため、直腸がんやポリープと誤診する可能性があったためだろうと思う。

座薬を処方され、2週間使用したが症状は軽快しなかった。

この時点で嫌な予感はしていた。

東京の肛門科専門医へ診察を仰ぐ

痔に効くという漢方や健康食品にも手を出してしまっていた。

毎回何万ものお金が飛んで行った。

この時点で自分はどこかおかしくなりはじめていたのだと思う。

今考えても愚かな事だ。

自身はもともと睡眠時無呼吸症候群を持病として患っており、東京の病院に毎月通っていた。

その途上で確定診断を受けるべく痔の専門で自由診療の肛門医院を訪れた。

地元の地域病院と同じく直腸指診と肛門鏡診察を行い、以下の診断が下された。

「内痔核」が2箇所、「外痔核」(古いものと新しいもの)が2箇所、「粘膜びらん」「裂肛」という事であった。

自由診療だったため、診察と薬の処方だけで約2万円だった。

さすがにこの金額を払い続ける事は難しいのでこの医院も1回しか行かなかった。

最大級の過ちともいえる「あの薬」にまで手を出した

自分にとって痔の手術どころか入院や手術自体がまるで未知のものだった。

今まで大きい病気をした事が無く、入院も手術も経験がない。

それに入院や手術となると仕事を休まなければならなくなってしまう。

おいそれと簡単に決断できる事ではなかった。

そして入院や手術は「最終手段」と考えてしまい、痔の広告で有名な「あの薬」に手を出してしまった。

高い授業料「ヒサヤ大黒堂」の不思議膏と金鵄丸

これに手を出した時の精神状態はまともではなかったと思う。

排便後に脱出する痔核を押し戻す事に疲れ、様々な市販薬や病院、漢方を頼り心が疲弊していた。

食べるものも食物繊維を意識して選ぶ事に固執し、バリエーションが乏しくなり外食もしなくなった。

目に見えるように痩せ、この時点で特に意識せず4~5キロ痩せていた。

ヒサヤ大黒堂のサイトから申し込み、数日で無料の試供品が届いた。

分厚い使用者の体験談とガーゼに塗布して貼り付ける薬と肛門内に挿入する薬だ。

間髪入れずに3万円の製品と多種多様な生薬からできた9000円の漢方丸薬を注文した。

この時点ではこれで一安心とすら思っていた、我ながら愚かである。

8日間分を2回購入したが、症状は悪化し処置を中断

使用している間、過剰なまでに送られてくる使用者の声が掲載された冊子を読み込んだ。

しばらく何回も読み返すうち、ふと違和感を覚えた。

この冊子に掲載されている使用者は誰もが高齢または中高年であり、どの使用者の文章の中に発病したのは若い頃だと書かれていた。

つまりウン十年前の記憶を頼りに話しているという事ではないか。

しかも中には手術をしたが再発したり失敗したとも書かれている。

医学は日進月歩で進化しており、ウン十年前の記憶にある医療技術と現代の医療技術はイコールではない。

それに痔は生活習慣病に近い(いわゆる良性疾患)のに生活習慣を改善したりしたとの記述が全く言っていいほどなかった。

全く何もしなくてもヒサヤ大黒堂の薬だけで全快したように書かれている。

さすがに怪しさに気づいた自分は2回分の薬を購入したが全て使用せず途中で処置を中断した。

しかし、時すでに遅し2箇所の内痔核は大きくなり、排便時に出血する頻度も多くなっていた。

結局高い授業料で激しく後悔する事になった

こんな高価な薬を買い続け無知にも処置を続けていたらどうなっていた事か。

既に約7万円をつぎ込んでおり、この時点で想像するのも怖くなっていた。

後悔先に立たず、という言葉が刺さるように痛むがこの時点で我に返ったのはまだ救いだ。

とりあえず高い授業料だったと思い、医療費控除には適用できるようなので領収書だけ申請し、二度と手を出すまいと処分する事にした。

いくら高価な生薬をふんだんに使っていようとこれで脱出した痔核がシュルシュルと小さくなるのかという事自体が考えてみればあり得ない事だ。

効果がないという事はないんだろうが、おそらくそれは薬の効果だけではなく生活習慣や排便習慣を正した際の総合的な「寛解」だろう。

またこの薬で再発もなく治癒するという症例は生活習慣や食生活、排便習慣を正しくする事でも寛解させる事が可能な病状だったのだろう。

ちなみにかなりしつこく「薬を買え」とばかりに資料やクーポンを高頻度で郵送してくるので手を出そうとしている方には注意してもらいたい。

病気を患うと冷静な判断ができなくなる

今回の事があってから自分自身の体に異変が起き、病気を患うと冷静な判断ができず怪しいものに次々と手を出してしまう恐怖を身をもって味わった。

もはや弁解の余地がないほどの大反省である。

だが、これは自分だけではなくありとあらゆる人に起こりうる事だと思う。

巷には効果が確かに実証された標準治療から患者を遠ざけ法外なカネをむしりとる根拠なき代替医療やニセ医学がはびこっている。

がんなどの重い病気が判明した時、冷静な判断力を失って代替医療やニセ医学に金を湯水のようにつぎ込み治る事なく悲運の最期を遂げた人々は多い。

今に始まった事ではないが、著名人や有力者ですらそういった間違った選択をした結果、悲惨な結果になった例はいくつもある。

今回はそういったものと比較するにはあまりにもインパクトが乏しいのかもしれない。

しかし冷静さを失って余計な金を使い込んだ事実は同じだ。

そして何も解決していない、余計に悪化しただけだ。

今回は自分自身に大きな咎(とが)を残すいい機会となったと解釈するしかない。

ギャンブルなど全く興味はないが、勝てないギャンブルに大枚はたいたと思う事にする。

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