Minimal Phone レビュー part.1

-デジタルミニマリズムとちょうどいい”距離感”-

皆さま、こんにちは。

長い道のりを経て、やっとごく一部の界隈でお騒がせ「Minimal Phone」が手元に届きました。

通常のスマートフォンと一味も二味も違うスペックや特徴を持つ本機ですが、基本的な部分からレビューしていきたいと思います。

Minimal Phone自体のコンセプトやら立ち位置やらの解説が入ると冗長になりそうという予想から複数の記事にしていこうと思いますので、お付き合いの程よろしくお願いいたします。

結論から言うとハードウェアとしてはともかく、まだまだソフトウェア面は発展途上というか作りこみが甘いので今は快適性については論じれる段階ではないです。

ディスプレイの表示バグやカスタムホーム画面の安定性、キーボード回りなど改善点は細かいところを指摘し始めると沢山出てきてしまいます。

これからのソフトウェアアップデートやキーボードIMEなどは外部ツールを駆使しながら快適性を追求しなければならないので、かなりの「玄人向け」というのが正直なところです。

自分も使っていて「こりゃ~どうすりゃいいんだ?」となっている部分が結構あるのでXやDiscordで解決策を探りつつ使っていくことになりそうです。

目次

Minimal Phoneとは

普段からここを覗いていらっしゃる珍獣レベルのモノ好きの皆様には耳にタコなのでしょうが、Minimal PhoneはSNS依存症やドゥームスクロール(否定的な情報ばかり集めてしまうこと)に対して”一定の距離を保つ”事を目的として開発されたデジタルウェルビーイング「寄り」のスマートフォンデバイスです。

オーナーであるAndre Youkhna氏とArmen Youssefian氏が「Minimal Company」を立ち上げ、開発・販売しています。

デジタルウェルビーイング、いわゆるデジタルデトックスをはじめとしたスマートフォンに限らないデジタル依存症と戦うデバイスはこれまでも数多くリリースされてきました。

しかし、今回の「Minimal Phone」は「デジタルデバイスへの依存に対し適切な距離をとりつつデジタルの利点をなるべく享受する」というありそうでなかなかなかった立ち位置のデバイスです。

彼らの性格的なところもあり、紆余曲折あり、クラウドファンディングでは支援者たちが一喜一憂、彼ら2人の尻を叩きながらなんとか製品が実現しました。

今回のレビューはまだまだソフトウェア面や使い勝手の部分に多くの課題を残した状態でのレビューですので、関連記事も含めてご覧になってから購入の判断の一助として頂けると幸いです。

特徴とスペック

公式サイトでも公開されている情報ですが、一覧化して掲載いたします。

項目詳細
外寸 144mm×79mm×8.6mm
重量165g
CPUチップセットMediatek Helio G99(MTK6789)
OSAndroid OS 14(出荷時点)
メモリ構成CPU:Octa-Core(2x Cortex-A76@2.2GHz+6x Cortex-A55@2.0GHz)
GPU:ARM Mali-G57 MC2
RAM:6GB/8GB(LPDDR4X)
ROM:128GB/256GB
バッテリー容量3000mAh
SIMタイプnano,Dual-SIM,microSDスロット有
ディスプレイタッチ対応E-paper パネル(電子インクパネル)
画面サイズ4.3 inch(800×600)
画面解像度230ppi
カメラ(リア)1600万画素AF
カメラ(フロント)500万画素
物理キーボードキー数:35キー
列数:4列
キートラベル:0.015mm
キーピッチ:約8mm(手計測)
バンド(2G GSM)850,900,1800,1900 MHz
バンド(3G WCDMA)Band 1,2,4,5,8
バンド(4G FDD-LTE)Band 1,2,3,4,5,7,8,12,17,20,28,66
バンド(4G-TDD-LTE)Band 34,38,39,40,41
Wi-fiWi-fi 5(a/b/g/n/ac)
Bluetooth5.2 BLE(Bluetooth Low Energy)
NFC〇(Google Pay対応),Felica非対応
ナビゲーションGPS:〇(内容非公開)
センサー類3軸Gセンサー,近接センサー,照度センサー
付帯機能3.5mmヘッドフォンジャック,モノラルスピーカー,USB Type-C端子,E-Paper Reflesh Button,電源ボタン指紋認証
無線充電〇(最大15W)
FMラジオ
カラーバリエーションPanda(100台限定),Onyx,Pebble,Fusion

なんと言っても大きな特徴は電子インクディスプレイと物理キーボードでしょう。

既に滅びて久しいBlackberryシリーズを彷彿とさせるデザインをしていますが、角はラウンドしているものの、筐体自体は板状になっています。

Minimal Companyのロゴを模したナビゲーションキーがあるのでジェスチャーナビゲーションの出番は限定的です。

特にディスプレイが電子インクであるため、タッチやスワイプ、ピンチといったディスプレイを直接触るアクション全般の反応速度は遅く、後述もしますが電子インクディスプレイに対する一定の理解が必須となります。

まずは結論から言うとかつてのBlackberryのように生産性を追求する端末ではなく、如何にスマートフォンを触る時間を限定するかというコンセプトの製品なのでそもそもガシガシ使い込む製品ではないという認識は持っておきましょう。

フラットな外観で体感は大きめな印象

まず本体について縦長の筐体が主流の昨今のスマートフォンに対してベゼルの幅もさることながら外寸の数値から感じる印象と実際に触った印象が結構違います。

自分の手の中にちょうど納まる感じですが、物理キーボード端末ですから持ち方は常に両手で支える形がメインとなり、片手操作をする機会は多くないと考えています。

重さは昨今のスマートフォンと比較してかなり軽いので、筐体はプラスチックですが仕上げ自体はこだわり抜かれており、高級感があります。

重心も本体上部に寄っていて、両手の親指でキーボードを押さえるようなバランスになるので疲れにくいと思います。

電子インクディスプレイなのでカメラ性能は期待できませんが、カメラレンズの出っ張りがほとんどないためテーブルの上に置いてもグラつかないのは評価ポイント。

背面はパソコンのマウスなどに多いつや消しっぽい見た目と感触で、それなりに指紋は目立ちそうです。

背面を上にするとキーボードが下になって干渉する可能性があるので「伏せて置く」というシーンはなかなかないと思います。

電子インクディスプレイに対する一定の理解が必要

MinimalPhoneの特徴である電子インクディスプレイですが、当然ながら普通のスマートフォンに搭載されている液晶ディスプレイとは違うのでリフレッシュレートや反応速度、タッチ感度において大きく劣ります。

またモノクロ表示なので普通のスマートフォンでは当たり前に楽しめるコンテンツも通常通り楽しめない可能性もあります。

そのため、電子インクディスプレイに過度な期待を寄せないほうがよく、むしろ割り切って使うという点においては自身の日常におけるスマートフォンの使い方を「どこまで削ぎ落せるのか」という事を考えておくことが必要になります。

「普通のスマートフォンとは違うのだ」という認識を常に持ち、電子インクディスプレイのリフレッシュレートや手動で画面をリフレッシュする必要性も含めて電子インクディスプレイの特性やメリット、デメリットを把握しておく事がMinimalPhoneを使う上で一番重要だといっても過言ではありません。

キーボードのクリック感は快適で小気味よい

4列で構成されたキーボードは比較的余裕を持たされたキーピッチとプチプチ押し込む感覚と反応が楽しく総じて完成度が高いといえます。

かつてのBlackberry機種やUnihertz Titanシリーズなどでキー同士のピッチ幅が狭すぎて上手く打てなかった方にはかなり打ちやすくなっているのではないでしょうか。

Blackberryのキーボードは基本的に生産性を追求するべく高速で正確な文章入力を目的としているのに対し、MinimalPhoneのキーボードは必要な文章を必要なだけ必要な時に打つというコンセプトから来ています。

また電子インクディスプレイの反応速度的に高速で打つと入力内容が正しく反映されなかったりするので長文の入力にはあまり向かないかもしれません。

そして後述する日本語入力環境の課題が輪をかけて快適性を損なっているのでもったいない感じに見えてしまいます。

電子インクディスプレイと発展途上のソフトウェアと入力環境

ここまでMinimalPhoneを約2週間ほど使いながら記事を書いていますが、全体的に見てディスプレイや中身のソフトウェアはまだまだ発展途上であると見ています。

特に留意したい点は以下の3点です。

ディスプレイの不具合

見出しの画像を見てもわかりますが、電子インクディスプレイの表示に関しての不具合が報告されています。

自分のは画面に線が入ってしまっており、その線が濃くなったり薄くなったりしますが、ハードウェアの不具合なのかソフトウェア由来なのか今のところはわかりません。

(Discordで報告したところ、ソフトウェア由来だと一蹴されましたが…)

これらの不具合についてはファームウェアのアップデートが予定されているとアナウンスがありましたが、具体的な期日等はわかっていません。

GoogleのOTA(On the Air)での更新が予定されているようですが、設定画面などから手動でアップデートする方法がないようなのできちんと配信されるかどうかが不安なところです。

リフレッシュレートモードが実質機能しない

Minimal Phoneには独自機能としてリフレッシュレートを可変でコントロールできるモードが存在します。

電子書籍等の表示に最適な「Slow」、動画の再生にも耐えうる「Ultra」、そして画面のスクロール時はリフレッシュレートを上げ、画面遷移が少ないときはリフレッシュレートを落とす「Hybrid」の3つがあります。

そのうち「Hybrid」と「Ultra」に設定すると画面がまともに表示されないという状態なので実質「Slow」一択という状況になっています。

現状カメラの画面にすると高速で画面が明滅して使い物にならなかったりする(通称ディスコモード)ので、これらもディスプレイのファームウェアップグレードなどによるケアである程度軽減されたりするのかが気になるところです。

電子インクディスプレイ搭載端末ではもはやメジャーといってもいい「Boox」などにも可変リフレッシュレートのモードが搭載されており、もはや当たり前となったリフレッシュレートのコントロールではまだまだこれらのライバルには及びません。

その分静的な表示形式でモノクロでも問題がないマンガをはじめ電子書籍はとてもキレイに表示できます。

ただ上記の不具合が改善されリフレッシュレートをコントロールするメリットが出てくれば活用の機会も増やす事が出来るでしょう。

日本語の入力環境

またロサンゼルス発のスタートアップなので現状公式では日本語入力環境はサポートされないと見ています。

現状、オリジナルのIMEである「Minimal Keyboard」は日本語をサポートしていません。

最近アップデートされましたが、特殊記号やアクセント等の対応のみだったので、期待するのは難しいと考えます。

こちらは国内でも動きがあり、テキストエディタアプリ「Jota+」やUnihertz端末にも対応した「AquaMozc」などを提供する「株式会社アクアマリンネットワークス」様が専用IMEアプリ(AquaMozc)を開発して下さっています。

現在テスト段階ですが、正式に公開されましたらこちらでも少し紹介しようと思います。

公式での動きが期待できない分、こちらには希望があるので一安心といったところでしょうか。

今のところは夜の相棒

以上のようにMinimal Phoneはまだまだ発展途上のスマートフォンだな、というのが総評です。

コンセプトは素晴らしいのですが、まだまだ理想論が先行しているという印象が否めない状態で今後MinimalPhoneの機能拡張と修正にどのように取り組むかといった点が課題です。

オーナーらの姿勢のアップデートとともにMinimalPhoneのソフトウェア的な課題を解決していかないとユーザー体験が得られない可能性は高いです。

もちろんMinimalPhoneは必要以上に「削ぎ落さなくてもいい」ように設計されていますが、「あれもしたい、これもしたい」という要求に応えるものではなく「これができればいい、できなくても困らない」という意識で自分が普段使用しているアプリやサービス、コンテンツをMinimalPhoneに合わせて「取捨選択していく」事が重要です。

自分としては夜寝る前にどうしてもスマートフォンを触りたい時や通勤時に電子書籍やブックマークしたWeb記事をちょっと読みたい時、間接照明が使用されていて薄暗いお店などで使う時に取り出して使っています。

現状としてはディスプレイの不具合の修正やアップデートが来ないと「コイツ(MinimalPhone)でいいかな」となる機会がまだまだ少ないです。

今後のアクションに期待する事にしましょう。

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この記事を書いた人

SNSから距離を置く30代男性。
ブログに雑記を書き散らしながら日々を楽しく生きる事だけ考える。
モットーは「同年代より一つ若くいること」。

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