-Blackberryのターゲティングを分析してみる- -後編-

      2019/04/02

-どこまで具体的に顧客の妄想ができるかやってみよう!-

皆さん、こんにちは。
今回の記事はお話の内容が前回の記事から続いております。
今回の記事から読み始めた方は、是非前回の記事から閲覧して頂く事をお勧めいたします。

前回は、「キャズム理論」からスマートフォンのユーザー層を分類、分析し、5つの層からBlackberryが狙うべき顧客層とはどういうものか、という内容を書きました。
今回はその続きとなりまして、狙うべき顧客層を絞った後、その顧客層の理想形を求めていく必要があるのですが、実はこれが結構難しいのです。
なぜなら、顧客の理想形とはいわゆるロイヤルカスタマーであり、まごうことなき「ファン」を指します。
「ファン」とは、製品の企業そのもの、または製品のブランドに全幅の信頼を置き、積極的に投資をしたり、企業側から頼まなくても情報の発信(口コミ)や評価をしてくれたりします。

では、それってどんな人なのでしょうか。
それを今回の記事にて後編として「仮想顧客の策定」の手法を使って突き止めていきます。

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なぜ仮想の顧客を設定する必要があるのか

まず、記事を読み進めるうえで最初の疑問を払拭しておく事にいたしましょう。
その最初の疑問とは、「なぜ仮想の顧客を設定する必要があるのか」というものです。
「だって、どうせ仮想なんでしょ、妄想レベルでしか作り上げられないのなら意味ないじゃん!」と思う事でしょう。
しかし、例え仮想だとしても顧客イメージの具体化をする事には明確な理由があります。
全ての企業はどんな製品、サービスを作り、世の中にリリースしていく中で、必ず顧客のイメージを明確にしておく必要があります。
マーケティングを担当する部署のメンバーやリーダーは自分たちがこれから作り、提供していく製品やサービスにとって一番最初のアクションとして理想的な顧客への提供を目指します。
その対象が「ファン(顧客)」(ロイヤルカスタマー)だから、なのです。

理想の顧客は「困っていないといけない」

でも理想の「ファン(顧客)」なんて上を見ればキリがないよ。
とてもお金持ちで、どんなに価格が高くてもお金を払ってくれて、不満もなく文句も言わず、ずっと買い続けてくれる人が理想でしょ?…と一見、安易に考えられるかもしれません。
もちろん、お金を沢山持っている人、稼ぐ人は裕福に違いないでしょうから、値段が高くてもお金を出し、買い続けてくれるかもしれません。

でも、そういう人って困ってなさそうだから、ウチの製品やサービスを欲しがらないですよね…だからそういう人を「顧客」とは言わないよね…

ってなりませんか?例え、お金を持っている人であっても、困ってなければお金なんて出してくれません。

製品やサービスといったビジネスが生まれるのは「不満や困っている事」があって、それらが製品やサービスによって「解決する事ができる」からであって、そういった製品やサービスに対して顧客が「不満や困っている事を解決できる事に期待して」そこで初めてお金を出すから成り立つのです。

ですから、顧客になりえる人は「困っている人」でないといけません。
その「困っている人」が抱える「課題や不満、悩み」を、企業が提供・開発する製品やサービスが持つ機能や価値、特徴によって「解決できる可能性がある」となって初めて、その人は「顧客」になります。
「理想の顧客」とは顧客の困っている状況の解決に製品やサービスによってバッチリハマっている事
を指し、そういう状況の顧客は製品やサービスに高い信頼を寄せてくれ、お金を払ってくれる確率がグンと上がりますから、その期待値の高さも相まって「理想の顧客」となるのです。

「困っている人」の状況がイメージできないと何もできない

ですが、「理想の顧客」と一言に言っても、その状況が事細かに分析、イメージできなければそういった顧客や状況すら見つける事は困難を極める事でしょう。
なぜなら、顧客のイメージ自体が「大体こんな人~」位しか決まっていないと、その後に控えている「製品やサービスをどういうルートで提供するのか」「どういう広告戦略を採用して訴求するのか」、はたまた「製品やサービスの価格戦略」「割引施策」「セールの時期」「在庫の持ち方」など、普及するにあたって最重要な戦略が基準が曖昧なままでは何一つ決まらないからです。

なので今後のアクションの為にも、理想の顧客のイメージは「大体こんな人~」ではなく、限りなく具体化する必要があるのです。
具体化といっても、生半可なものでは済ますような事はしません。
仮名による名前を付けるところから始まり、もう仮説としてイメージ出来得る限りでどんどん決めていきます。

  • 顧客の名前(仮名)
  • 性格
  • 生活スタイル(1日の過ごし方)
  • 居住地(出身地・現居住地・持家か賃貸か)
  • 仕事内容(勤務業種・業態・通勤手段など)
  • ファッション(普段着・勝負服・好きなブランド)
  • 収入・年収(独身でない場合は、個人ではなく世帯年収)
  • 家族構成(既婚か未婚か・子供orペットの有無・世帯人数)

要は如何にリアルな人物像を構成できるかで、そもそも人間かどうか怪しい…みたいな突拍子もないイメージにしてはいけません。
誰かに聞いても「そんな人いるかな…?」という反応ではなく、「あーいるいる、こんな人ね!」という頭の中に顔が浮かぶような人物像の構築が必要になります。

こうして、例え仮名だとしても、頭に顔が浮かぶくらいのイメージができていれば、「この人に刺さる広告はコレ!」「この人に直接届くルートはこの方法!」「この人の年収ベースから許容範囲の価格はこれくらい!」「割引とセールの時期は生活スタイルからイメージしてこの時期にやろう!」とその後のアクションが次々と決まるようになるのです。

Blackberryの顧客をイメージしてみよう

さて、仮想顧客を設定する事の重要性を述べるのはこれくらいにして、これをBlackberryに当てはめてみようじゃありませんか。
Blackberry端末を持つような人はどんな性格をしていて、どういう一日を送っているのか、どこに住んでいそうな人で、どういう仕事をしている人なのか、ファッションの好みにはどういう拘りや癖があり、どれくらいの収入ベースの人が買い求めるべきなのか。

本記事で自分は大きく分けて男性と女性で仮想顧客をイメージしてみましたので、この記事を読んでいただいている皆様と同じイメージを抱いているのか、それともまたく異なるイメージを持っているのか気になるところではあります。

ちなみに、仮想顧客をイメージする上で重要なのは前述していますが、「何に困っているのか」「何が不満なのか」を盛り込んでおくようにしましょう。
不満や困っている事が具体的に書かれていないとBlackberryが顧客の何を解決しているのかわかりづらくなってしまいます。
不満といっても、ただの文句ではなく「何を課題として捉えているか」が分かるように表記しましょう。

31歳男性「八越 昌隆」のケース

 

まずは男性の場合です。
自分は仮想顧客として「パソコンに慣れていて、スマートフォンのタッチ操作に違和感を持つ人」を作ってみました。
パソコンに慣れている、というと少し語弊があるかもしれませんが、キーボード操作に完全に慣れているエンジニアのような人物で、逆にスマートフォンのタッチ操作やフリック入力での入力の不便さを実感していて、そして仕事でも現場の同僚やクライアントとはテキストメッセージを多用したコミュニケーションを主とし、伝達事故防止の為に誤字脱字を撲滅すべく、無線キーボードによる入力環境を整える位に入力ミスを警戒する顧客で、その安心感と引き換えに嵩張る無線キーボードを持ち歩いている。
嵩張る無線キーボードを持ち歩く事に矛盾を感じつつ、その矛盾を合理的に解決する方法を探しているという設定です。

日本語入力環境を整える必要こそあれど、Blackberryに搭載されたキーボードはソフトウェアキーボードに比べ、打鍵感を確保するとともに、打ち間違いを格段に減らすことができるものです。
つまり、Blackberryのハード面の特徴を活かしたデモ動画の掲載や広告戦略が非常に刺さるでしょう。
小さいながらも、打鍵感をしっかり確保したキーボードのアピール。
どんなに慣れてもパソコンのキーボードには敵わないかもしれないが、しっかりと反応を感じる事ができるキーボードの感触は、そうそうフルタッチ端末で再現できるものではあるまい。

つまりこういう矛盾や課題を抱えている顧客にターゲットを絞れば、Blackberry端末全体のアピールをするより、むしろ上記の場合であれば物理キーボードの機能をアピールするPR戦略がより効果を出す事ができるのではないか、という事が見えてくるというワケです。

28歳女性「芦沢 美紀」のケース

次は女性の顧客を作ってみました。
この顧客の場合、端末等のガジェット系にはあまり魅力を感じていないものの、仕事をするうえで仕事用のメールもプライベートのメールも1台の端末で一気にチェックしたいと考えている顧客です。
プライベートも控えめで映画鑑賞やネット通販を楽しむので、発送メールやチケットの予約のメールもチェックしたいのでしょう。
ファッションもプチプラ(プチプライス、格安なラインのプロダクトの事)に見えにくい「GU」を多用している事から、服飾さえも通販に依存している層だと分析できます。

この顧客の場合、解決したい課題がソフトウェア側である事が文章から読み取れますが、顧客自身は端末の詳細に詳しくないので、沢山の端末を比較して「アレはコレでソレはねぇ…」と検討して決める事はできないと予測します。
そこで「複数のアドレスのメールの仕分けをしてくれる」という課題にフォーカスして「そんな機能を搭載する端末がありますよ」というアピールを取る事ができれば、こういった層も取り込めるのではないでしょうか。

ここでアピールすべきは上記の男性の場合もそうですが、「端末の全体がどうのこうの…」というフワッとしたアピールではなく、「Blackberryという端末がどんな機能(ソフトウェア)を搭載しているか」という事に尽きます。

アピールの広告文句を考えるならばこんな感じ。
「仕事用のアカウント?プライベートのアカウント?アカウントがいくつあってもこのBlackberry Hubが搭載されているBlackberryなら大丈夫。大事な顧客からの受注メールもプライベートの食事のお誘いも待ちわびた通信販売の発送メールもこれ一つで全て管理できます。煩わしい整理作業も指一本で実行できるスワイプコマンドで不要なメールを削除したり、社外秘メールをアーカイブだって思いのまま。SNSのアカウントも連携できるから通知を確認する為だけにSNSのアプリを起動するという余計な作業をせずに済みます。この機能はあなたのSNSライフを大いに手助けしてくれるでしょう。」という具体的なソフトウェア機能のアピールがとても効果を発揮するはずです。

このように実際に使った風景をイメージできそうなアピール文やこの顧客のようにSNSを敬遠しているユーザーの共感を誘うようなポイントを突く事ぐっと顧客を近づける事に繋がります。

結論

このように「購買層に引き込めそうな顧客のイメージ」をあらかじめ思い描いておく事は、その後のアクションである戦略やアピールに大きな影響を与えます。
例えば、これを仮に行ったとしてもそのイメージが「どこにでもいそうな人」だったり「そもそも困ってなさそうな人」になってしまうとその後の戦略やアピールが「本当に買ってもらいたい人」に届かず間違った人に届いてしまったり、最悪「誰にも届かず気づいてもらえない」という事に陥ってしまう事さえあります。

また、様々なメンバーで戦略や顧客のイメージを話し合う時もこのように具体的に想像できるレベルで話せば、内容を聞いた相手も同じようなイメージを思い浮かべる事が出来ますし、共有も容易になって同じ方向性を持って挑む事ができます。
そして自分自身もそうですが、Blackberryの魅力を発信したり、広げようという志のある方やもう先見の明を発揮してBlackberryを使ってらっしゃるユーザーの方々はこのように具体的なユーザーのイメージをすぐに作れるようになれば、もっと生産的なコミュニケーションがとれるかもしれませんよ?という提案をしてこのエントリーを終わりたいと思います。

まぁ、願わくばBlackberry、いやTCLがこれくらいの情熱と愛で魅力的な端末を作ってくれればいいんですがねぇ。

*【注】*
今回の記事はマーケティング戦略の一つである「ペルソナ戦略」と「仮想顧客の策定と実践」を学んだ上で筆者自身がBlackberryのターゲティングを独自の解釈に基づいて分析、執筆したものです。
この記事内の分析結果、結論は独自の解釈の域を出ず、BlackberryのブランドやBlackberry社自身の戦略、顧客自身を差別、誹謗中傷するものではない事をここに記載致します。

参考

【ペルソナ戦略 - マーケティング・製品開発・デザインを顧客志向にする】

【実践ペルソナ・マーケティング - 製品・サービス開発の新しい常識】

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