Blackberry

-「Blackberry KEY2 Last Edition」登場に何を思うか-

ーせめて、この歴史を受け継ぐものの登場を願いたい。ー

残すところ、約2ヶ月。

2020年8月31日をもってTCLはBlackberryブランドのスマートフォンの製造・販売を終了する。

発表自体は同年2月初旬に既に発表されていたが、もうそろそろこの悲しい事実に向き合わないといけないようだ。

TCLによる端末へのサポートは2022年8月31日まで継続されるが、後継機種は出ない。

TCLからはもちろん、仮にライセンスを引き受ける企業が出てきたとしても「Blackberry KEY3」は出ないのだ。

はじめ、このお知らせはSNSで発表されたのだが国内外のネットメディアは大々的に報じ、一部のネットメディアはまるで「過ぎた時代の老害」だといわんばかりに悪意を持った書き方をしたりしていたが、このニュースは根強いBlackberryファンのみならず物理キーボードに愛着のあるユーザーにとっても肩を落とす出来事であったことは想像に難くない。

そして6月30日に株式会社FOXから限定299台で最終生産分と思われるBlackberry KEY2に特別な刻印を施したスペシャルパッケージが発売される運びとなった。

スペシャルパッケージには高い耐久性を誇るスーパー繊維と呼ばれる「アラミド繊維」を使用して作られた「専用アラミドケース」が同梱される。

株式会社FOXの直営オンラインストアである「FOX STORE」にて購入できるほか、有楽町の「阪急メンズTOKYO」7階フロアに展開する直営店でも販売される。

https://caseplay.jp/collections/blackberry/products/blackberry-key2-last-edition?variant=31927227056230

現在はキャンセル待ちになっているほど発売当初は9万円前後した機種だけに価格設定的にはこれが適切だったのではないかと思えなくもない。

自身のBlackberry KEY2はヘタれるまで使い倒す予定の為、現時点での購入予定はないがこれを機にBlackberryの魂がこもった物理キーボードを体験してみたいという人にとっては購入のハードルがかなり低くなっているので是非お勧めしたいところだ。

ここからは今回の「Blackberry KEY2 Last Edition」発売について思う事を書いていく事にする。

「KEY2」は”クリエイティビティ端末”である

自分はBlackberry端末を「Blackberry Q10」の頃から本格的に使いこみ始めた世代だ。
Blackberry歴は6~7年というところだろう。
Blackberryを愛してきたファンとしては若輩レベルかもしれないが、自分はファンの一人としての自覚を持っているつもりである。

最初は物理キーボードを備えるBlackberry端末を「物理キーボード端末」として見てきた。
しかし、このブログを書くようになり記事の更新や記事ネタの整理・記事の校閲に至るまでBlackberry端末を活用させていくうちに、自分がBlackberry端末に対して違う見方をし始めている事に気が付いた。

Blackberry端末の物理キーボードによってSNSだけでなくブログなどの文章もサクサクと書く事ができ、表現力も豊かになった。
何も自分はBlackberry端末だけを使ってきたわけではない。
フルタッチ端末を何台も使ってきたし、過去iPhoneにお熱だった事だってある。
しかし、フルタッチ端末を使っている時はSNSでつぶやく事なんてなかったし、ブログを書こうなんて思う事はなかった。
Blackberry端末が持つ物理キーボードによってブログやSNSでの発信ができるようになったと考えるとBlackberry端末はただ物理キーボードがくっついている「物理キーボード端末」などではなくクリエイティビティを生み出す事ができる可能性を持つ端末、つまり「クリエイティビティ端末」と呼ぶことができないだろうか、と考えた。

なので今は物理キーボードを備えたBlackberry端末の事を個人的に「クリエイティビティ端末」と呼んでいる。
もちろんそう呼ぶにはいくつかの理由がある。

時代に合わせて進化してきたキーボード

まず、最も大きな理由がBlackberry端末の特徴ともいえる「物理キーボード」だ。

あえてBlackberry端末の物理キーボードを知らない人に対して書くが、Blackberry端末に備わっているキーボードは「ただのキーボードがくっついているわけではない」という事をまずは理解してほしい。

文字入力の根幹を司るIMEの利便性や精度をはじめキー配列、予測変換などありとあらゆる面でBlackberryは生産性の追求というゴールの為にソフトウェアのクオリティやキーボードを改良してきたからだ。

フルタッチ端末に負けないようキーボードショートカットやキーボードをなぞる事で画面のスクロールができる機能、キーボードだけでアプリの切り替えができる「Speed KEY」など生産性を高めるため、キーボードから極力指を離さないようキーボードを中心とした操作系統を生み出してきた。

このこだわりはBlackberryが頑固だったからではなく、キーボードによる入力や操作がクリエイティビティの創出という点においてフルタッチ端末よりも可能性を感じていたからではないかと考える。

人類の歴史と「クリエイティビティの創出」の歩み

ここで我々人類が「文字を紡ぐ歴史」の歩みを振り返ってみよう。

我々人類は文字を発明した後、文字を表現する方法として石に刻んだり、墨やインクで木の板や紙に書いてきた。

これが腕全体を動かして表現する最も原始的な入力方法である「手書き」だ。

次に、人類はタイプライターを発明し、対応する文字のキーを叩けば表示したい文字が入力される。
コンピュータが発明された後もキーボードとして対応するキーを叩く動作は変わらず今に至る。

これが腕全体を動かす手書きよりも素早く最大10本の指を使って正確な文章を入力する事ができる「キーボード入力」だ。

そして現代、携帯電話はタッチパネルになり、画面上に表示されたキーボードをタップして文字を入力していく。
そして快適に入力できるように指一本で操作可能な「フリック入力」が開発された。
ついに人類は親指一本だけで文字の入力を可能にしたのだ。

我々人類は「便利さ」を追求し続け、「楽をする為に」頭を使い続けてきた。

「便利さ」を追求しすぎた代償

しかしちょっと待ってほしい。

原始時代、何も持っていなかった我々人類は体を動かす事で脳を刺激し、様々な道具を発明してきたのではないのか。
筋肉を刺激し、脳に信号を送り、素早く反応する事で「クリエイティビティの創出」をしてきたのではないのか。

文字を発明し、表現方法としての「手書き」は腕全体を動かす事によって文字の書き方を変幻自在に変化させることができた。
それにより文字に感情を持たせたり、素晴らしい表現が生み出されてきた。
これも全て体を動かす事による「クリエイティビティの創出」と言えるのではないか。

しかし、今はどうだ。
我々人類は指一本しか動かさずに文字を入力している。
これは一見「便利」なのかもしれないが、「クリエイティビティの創出」からは離れてしまっているのではないか。

親指一本で操作できることは確かに「楽で便利」であるかもしれない。

だがそれはTwitterやfacebookのようなSNSをはじめとした短文でのコミュニケーションが前提だ。

ブログのような記事でさえ、何千文字と字数があるのに小説や論文など何万文字以上ともなると「フリック入力」のような指一本での操作や入力方法ではとてもではないがカバーできないであろう。

という事は指一本で操作、入力を行う「フリック入力」は限定的かつ「クリエイティビティの創出」には向いておらず、結果すべての入力方法を代替する事はできないのである。

つまり我々人類は「便利」という言葉の影で「進化」ではなく「退化」へ向かってしまっているとも考えられてしまうのではないか。

「物理キーボード入力」は見直されるべき

これは自分だけの個人的な考え方かもしれない。

でも携帯端末がここまでコンパクトになった今の時代においては今更「手書き」に戻る事は現実的に考えてもできない。

だが、今こそ人類の進化や繁栄の過程で常に磨き続けられてきた「クリエイティビティの創出」を担保する入力方法が見直されるべきだと考えている。

手書きに戻る事ができないのならば、「クリエイティビティの創出」と「入力・表現の便利さ」の両方を保証しうる「物理キーボード入力」こそ今見直されるべきではないのか。

自分はその「見直されるべき理由」の一つとして物理キーボードを「打鍵」する事こそが「クリエイティビティの創出」に少なからず寄与しているという見解も持っている。

これは「手書き」で筆圧を込めて紙に文字を書く時に、筆記用具を通して筋肉に反応が返ってくる事を利用して脳を刺激する事で様々な表現や文字の形、美しい文章が紡がれるのと同じくキーボードを「打鍵」する事で、筋肉と脳を刺激する事ができ「クリエイティビティの創出」に繋げる事ができるという考えに基づいている。

これがタッチパネルによるフリック入力だと同じようにはいかないだろうと考える。
なぜならフリック入力の場合、指が一本である事とタッチパネルによる操作で感覚として捉える事ができる反応が殆どない事、そして高速で文字を打つ際に指を動かす事に必死になってしまい、文章の前後関係などに脳のリソースが十分に割かれない事などが挙げられるからだ。

実際、かなりフリック入力に慣れている人でもTwitterなどの文字数制限である140文字あたりが限度だと思う。
ミニブログとして認識されているMastodon(マストドン)の500文字は恐らくフリック入力で打ち続けるのは無理な文字数に違いないだろう。

だが「物理キーボード入力」は現状「Blackberry KEY2」を基本と考えても使う指は2本だが、スマートフォンユーザーの大半がパソコンのキーボードへの親和性を持っている。
パソコンのキーボードを触った事が無くてスマートフォンのフリック入力しか知らないというユーザーは恐らく少数だ。

使い慣れたパソコンと似た配列でなおかつ物理キーを「打鍵」するという感覚がパソコンのキーボードで入力するという事に近い為か、長文でもスイスイと入力できてしまう。
しかも物理キーを使ってパソコンと同じく入力をしているので文字入力に多くの脳のリソースを割く感覚がなく、ソフトウェアキーボードで画面も隠れないので文章の全体を見直しながら表現を整える余裕を作る事ができる。

事実、自分もこのブログ記事もほとんどの文章を「Blackberry KEY2」で入力し、PCで行うのは細かい校閲や画像やリンクの挿入位である。

ただ裏を返せば「長文を入力する」「仕事のメールや資料を作る」といった「クリエイティビティに直結する需要」が無ければ受け入れられないという事であり、現在のSNSでの発信スタイルが短文のコミュニケーションである限り万人には受け入れられない存在だという事は否定しようのない事実なのは理解しておくべきだろう。

しかし一概に「スマートではなく古い入力方法だから不要である」という新旧のテクノロジーの入れ替えみたいな浅い考えで排斥されるべきではない事はわかっていただけたはずだ。

物理キーボード端末に光あれ

 

今回発売された「Blackberry KEY2 Last Edition」を最後に物理キーボードの雄であるBlackberryがその蓄積されたノウハウごとその歴史を閉じてしまう事になってしまうというならこれほど悲しい事はない。

物理キーボードを搭載した端末はBlackberryしか作っていないわけではないが、入力システムだけでなく関連ソフトウェア、物理キーボード自体のノウハウをこれだけ醸成し歴史を紡いできた唯一の企業はBlackberryくらいなものである。

クラウドファンディングを中心に活躍しているUnihertzをはじめ、物理キーボード付き端末はひっそりと出続けてはいるが、自分は未だにBlackberryほどのノウハウをどうにか受け継いだメーカーが物理キーボード付き端末を作ってはくれないかという想いをひそかに抱いている。

蓄積されたノウハウの数々は技術力そのものであると思うし、Blackberryも自社開発に戻るのであれば大歓迎だが、もしそうでないのならば法外なライセンス料を設定せずに様々なメーカーに比較的手が届きやすいライセンスフィーを設定し、せっかくの貴重なノウハウを腐らす事無く広く物理キーボード端末の魅力が伝授されるように姿勢を変えてくれる事を願うばかりだ。

参考

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